ドイツ通信・大地の恵みと揺るぎない伝統 - 手作りロザリオ

【スタッフErikoのドイツ通信】 皆さんは、「ロザリオ」と聞いて、どんなことをイメージされますか?
とくに、キリスト教に根ざした日常を送っていない場合、 ロザリオって聞いたことはあるけど、具体的にどんなものかよくわからない、そう言う人は案外多いのではないでしょうか。

私もそんな一人です。 それで、今回、ちょっと調べてみたのですが、 ロザリオとは、聖母マリアに捧げるお祈りのこと、またそのお祈りを繰り返し唱える際に用いられる、数珠状の用具のことです。 なぜ調べてみたかというと、 先日このロザリオを手作りしている方をお尋ねする機会があったからです。

ロザリオは、石やガラスの珠で作られることが多いようですが、シュパーンルンフトさんは、なんと乾燥マメを用いてロザリオを制作しています。

「マメ」と「ロザリオ」、いきなりこれだけ聞くと、どうもこの二つがうまく結びつかない感じがしますが、でもちゃんと繋がるのです! シュパーンルンフトさんがロザリオに使用するのは、インゲン豆の1種です。 ただ販売用に流通はしておらず、個人的に好きなひとが育てているようです。 このマメのスペシャルなところは、表面に白地にブラウンで、まるで焼き付けたような天使の翼に似た模様が自然とついていること。 これがカトリックの儀式に用いられる容器、聖体顕示台の模様に似ていることから、 「モンストランツボーネ」(聖体顕示台マメ)とも呼ばれているとか。まさにロザリオの材料としてぴったり、 でもこのマメは表面がつるつるしていて、ロザリオ用に穴を開けるのも大変。

「聖なるマメ」のほか、シュパーンルンフトさんのロザリオには、なぜか「ヨーゼフストレーネン」(ヨーゼフの涙)と呼ばれる植物の実や、いろんなカラーの石珠も用いられます。 先端につけるクロスにも、様々な種類があります。

ロザリオには、ネックレス風の長いものや、ブレスレット風の短いものがあります。ですが、アクセサリーのように首にかけたり腕に巻いたりはせず、手に持って珠を繰りながら、お祈りを唱えたり瞑想を行います。お祈りの順番や回数が定められていて、ロザリオの珠の数や形状もそれに沿って決められているとか。

ここバイエルン州では、個人が定期的に教会へ行っているかどうかに関わらず、カトリックの伝統や習慣を、人々の生活のあちこちにかいま見ることができます。 慣習として、また四季折折の行事として、日常に溶け込み、定着している印象です。

その一つが「コミュニオン」(聖体拝領)。 カトリックの家庭では、子どもがはじめてこのコミュニオンを受ける時を、とても重要視していて、当日は、親戚や友人たちがそろって教会の式に参列し、大抵そのあとにフォーマルなお食事会が続きます。ちょっと日本の七五三みたいです。

このときの伝統として、 初コミュニオンを受けた子どもは、近しい家族からロザリオをプレゼントされます。 シュパーンルンフトさんは、このコミュニオンをはじめ、 個人個人にとって特別な日のためのロザリオを、一つ一つ丁寧に手作りしています。 しかも、オーダー制で、どんなロザリオにしたいのかの相談にものってくれて、 ほかにはない自分だけの特別なロザリオを作ってくれるのです。

1つのロザリオができあがるまでには、何時間という時間がかかります。 できあがったロザリオそのものも、もちろん何者にも代え難いギフトですが、彼女が心を込めて一つ一つのロザリオに向き合ってくれる時間とその温かい思い、それ自体が、なによりの宝物ですね~。

私も、マメと石珠を使用した、ブラウン系のミニロザリオを一ついただきました。母なる大地の恵みと、今の私を育んでくれているここドイツの揺るぎない伝統、このロザリオには、それらがぎゅぎゅっと凝縮されているようです。

私個人にとっては、特定の「宗教」というより、グローバルな媒体「魂」で、そのことをとても感謝した出会いでした。 そんな「聖母マリアさま」から名前をとったマリエン。

その名前のように、心と体を癒すハーブアイテムを通して、皆さんのお役に立つことを願っています。