【スタッフErikoのドイツ通信】
ドイツの伝統工芸品といえば「鳩時計」!
そう即座にイメージされる方も多いのではないでしょうか。
ドイツで出会った素敵な伝統技術をご紹介する夏休み特集、最終回の第三回は、日本人観光客にも人気の商品、鳩時計のお話です。
鳩時計はドイツ南西部のシュヴァルツヴァルト(黒い森)が産地の精密工芸品ですが、今ではドイツ全体の象徴のようにもなっていて、お土産に求める観光客も多いです。
鳩時計の原型は、すでに17世紀の初頭には存在していたらしく、その後シュヴァルツヴァルトで発展しました。
壁掛けタイプの木製の振り子時計で、チェーンに付けられた重りを動力として作動します。
典型的なデザインは、傾斜した屋根の巣箱型ですが、タマゴ型もあります。
ところで、この鳩時計、ドイツ語では、”Kuckucksuhr(クークックスウーワ)”と呼ばれています。
「クークークというのは、カッコウ鳥のこと、「ウーワ」は時計です。
つまり「鳩「ではなくて、正しくは「カッコウ」の時計ということになります。
定時に中の窓が開いて鳥が顔をだし、「カッコー・カッコー」と泣いて時刻を告げる仕組みはよく知られていますが、更に、「ボーン・ボーン」というあのクラシックなボンボン時計の鐘の音がプラスされてるものも多く、またそれに合わせてフィギュアが動いたり、鳥がくちばしを動かすなど、巧妙な仕掛けのものもあります。
デザインは様々ですが、「ハイジ」に代表されるような山小屋風や、森の風景など、アルプスの山岳地帯のシーンをイメージしたものが多いですね。
細部へのこだわりにも、プロ職人の心意気が感じられます。
ブナやカシの葉がリアルに装飾されていたり、エーデルワイスの花や水車小屋など、アルプス山地を象徴するモチーフが彫り込んであったり。
また薪割りなどの山仕事をしている民族衣装の人々のフィギュアが配置されていたり、山羊・うさぎ、犬・鹿・熊など、酪農や狩りをシュトした森や山の生活で身近な動物たちが登場したりと、立体感のあるシーンを匠に演出してくれます。
また、山小屋の鎧窓がチューリップ型に彫刻されていたり、屋根が瓦屋根風で、上に鐘塔まで立っていたり、時刻が来るとカップルがダンスを踊る仕組みになっていたりと、細工の細かさがとことん追求された作品も少なくありません。
イメージも、小振りでかわいらしいほんわかした感じのものもあれば、粗野で厳しい山の生活がかいま見られるような迫力のあるもの、優雅で豪華な雰囲気のものなど、様々です。
時代とともに、カッコウ時計の知名度が世界的に高まるにつれて、伝統的な振り子式に変わってクォーツ式のものや、外観は昔ながらのカッコウ時計でも、中はモダンな電子オルゴール搭載のもの、また木製の代わりに、軽量で安価な合成素材のものなど、「今時バージョン」も増えていると聞きます。
そうしてだれでも入手しやすくなる一方、伝統芸術の醸し出す誇りや、一筋縄ではいかない気むずかしさみたいな魅力が、失われていくようで、ちょっと寂しい気もします。
時代の波に負けず、頑張れ、クラシックなカッコウ時計達!
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