ドイツ通信・広がるファンタジーワールド - 「ガーデンノーム」

【スタッフErikoのドイツ通信 】

先日、夏の陽気に誘われてサイクリングに出かけた際、「白雪姫と7人の小人」をイメージした楽しいガーデンノームたちを発見しました。

「この先がレンタル菜園ですよ」という道案内に使われてたようなのですが、これに触発されて、今回はガーテンノームについてお伝えしたいと思います。

「ガーテン」はドイツ語で庭、「ノーム」は英語のgnome、これは地の精のことです。植物の間などにセッティングする人形で、庭の雰囲気作りに用います。

日本でも、ガーデニングの好きなかたはご存じかもしれません。

ドイツにはガーテンノームの長い伝統があり、特に19世紀以降に流行したようです。

かつては陶磁器に手書きで彩色・絵付けしたものが主流でしたが、最近は安価な合成素材のものも出回っています。

古典的なガーデンノームは、革のエプロンにサンタクロースみたいなとんがり帽子、手にはつるはしなど土地を耕すための道具やランタンというスタイル。パイプを吹かしているものも多いですね。
中世の山地民や庭師の装いをイメージしたものらしいです。

またこうした典型的な人形の他に、身近な動物や鳥が一緒に登場することも。

例えばウサギやハリネズミはポピュラーなモチーフですし、最近ではカメがパイロットの格好を下「コスプレ風」もあるみたいです。そして、森でも住宅街でもしょっちゅうきれいな声で歌うようにさえずっているブラックバードも、ガーデニングの演出に活躍。

両思いらしいカップルバードもかわいいですね。昔ながらのガーテンノームは働き者。畑を耕したり、花に水をやったり、果物を収穫したりと、せっせと身体を動かしてます。

そう言えば、グリム童話などに登場する小人たちも大抵は勤勉なイメージですね。

ですが、「余暇追求」の傾向が、どうやらガーテンノームの世界にも広がっている様子。

草地に寝転んでビールを飲んだり、キャンプしながら読書したり、ギターを弾いたり、果てはのんびりバスタブに浸かっているフィギュアもでてきて、「人生楽しんでます」感満載です。

更に山頂で一息入れてるアルペン地方ならではの「ハイカー・ノーム」なんてのもあるようです。

昔ながらのガーテンノームは、さえない風貌なのに格好つけてたり、あんまり真面目にやってるところがかえって滑稽だったりと、そのわかりやすいちぐはぐさやアンバランスが笑いを誘ったりほのぼのさせてくれるところが大きな魅力の1つ。 このなんとも中産階級的な安定感が人気の素ではありますが、逆に「キッチュな感じがして好きになれない」という人もいて、好みが分かれるところです。

また90年代くらいから、前衛アートの影響を受けた革新的なモチーフや、時の政治家を諷刺的に描いたもの、また人気漫画の登場人物を用いたものなど、従来のイメージを覆すタイプが登場、「ガーテンノーム旋風」を巻き起こして、新たなファン層を獲得しました。

その一方で、「伝統的ガーテンノームを継承する会」も発足、フィギュアのサイズや扱ってよい主題を明確にするなど、なんとも政治的な動きにまで発展したとか。

うーん、なかなか奥が深いぞ、ガーテンノーム♪

庭という限られた空間に展開する、限りないガーテンノームのファンタジーワールド。

これまで関心がなくスルーしていたホームセンターのガーデンコーナーも、今度ゆっくりのぞいてみようと思います。

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